連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟山田隆道『No.003 あなたが泣けるもの3』をアップしましたぁ。プロ野球の引退試合について書いておられます。山田さんは基本、引退試合が苦手のようです。『理由は実にシンプルだ。みんな、よく泣くからである。(中略)主催者もそれをわかっているからこそ、あえて感動の涙を誘うような演出を仕掛けることになっている。私は昔から、あの一連を正視できないのだ』と書いておられます。

 

石川も山田さんに賛成だなぁ。少なくとも涙を誘うような演出は控えて欲しいです。スポーツはもちろん文学も、広い意味での豊かな社会の上澄みのエンタメ文化です。その意味でエンターティナーたちは多かれ少なかれ浮き世離れしているわけですが、それは特権的スターになり得ると同時に社会の無用者と紙一重です。それをどこかでわかっていないと勘違いした醜い人間が出来上がってしまう。スポーツ選手で言うと、引退の時にその選手の全人格が透けて見えてしまうこともある。美学がなければ本当のスターではないです。

 

山田さんは元阪神の赤星憲広選手について、『赤星には引退試合もセレモニーも用意されなかった。その負傷したダイビングキャッチが彼の現役最後のプレーであり、担架で運ばれていった痛々しい様子が、公式戦で見た彼の最後のユニフォーム姿だった。私、めちゃくちゃ泣きました。赤星が涙を流していなかったからこそ、赤星が苦痛に顔を歪めていただけだったからこそ、胸の奥底から悲しみが込み上げてきて目頭が熱くなった』と書いておられます。これ、わかるなぁ。

 

石川は赤星が負傷した試合は見ていませんが、赤星引退と聞いたとき、『赤星ぃ、お前、何歳なんだよ。ケガ直して復帰したらんかい』と思いましたもの。でも彼のケガはそうとうに深刻だったようです。阪神ファンの唖然としたがっくり感を背中で感じて、わずか9年で現役を閉じた赤星は引退セレモニーをしなかったように思います。それは野球選手の一つの美学だなぁ。

 

 

連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟山田隆道『No.003 あなたが泣けるもの3縦書版 ■

 

連載リレーエッセイ〝あなたが泣けるもの〟山田隆道『No.003 あなたが泣けるもの3』横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

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