純文学エンターテイメント作家、遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』(第10回)をアップしましたぁ。『よびだすまじょ』(前編)です。主人公の女の子は再び夢の中の図書館に行って、お父さんを探し出すための魔法の本を探します。ただそれは一筋縄ではいきません。

 

 「あった!」

 こっちは、かりられていませんでした。

 「これよ、これ!」

 あたしがてにとったのは、『よびだすまじょ』というほんでした。ひょうしには、まほうじんというきみょうなずけいがかいてあって、そのむこうにまじょがいます。まじょがだれかをよぶと、そのまほうじんから、もくもくとけむりがでて、そのけむりのなかに、だれかのすがたがうかびあがっている・・・、そんなじょうけいがえがいてありました。

 「おねがい、いいひとでありますように」

 あたしは、おいのりをしてから、ひょうしをめくりました。

 とたんに、あたしは、あきのはやしのなかにいました。

 じめんには、あかやきいろのおちばがいっぱいおちています。どんぐりも、いろんなしゅるいのがありました。いつものあたしだったら、よろこんでどんぐりをあつめにかかるのですが、きょうはさすがに、そんなことをしているばあいではありませんでした。

(遠藤徹『ゆめのかよひじ』)

 

女の子は図書館で『いつわりのまじょ』の本を探したのですが、それは貸し出し中のようで見当たりません。彼女は代わりに『よびだすまじょ』の本を借り、その魔女の力を借りていつわりの魔女を呼び出してもらおうとするのです。

 

こういった紆余曲折が遠藤さんらしい小説の展開です。それは決して引き延ばしではなく、遠藤さんが抱えるテーマに直結した迂回です。夢の中に入り現実問題の解決法を探り、現実に帰ってきてさらに夢を見る。それはわたしたち人間の本質に基づいた往還運動でしょうね。

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第10回) 縦書版 ■

 

遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第10回) 横書版 ■

 

 

第04金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項

第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。

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