鶴山裕司さんの『BOOKレビュー・詩書』『No.025 シュルレアリスムの正統後継者―朝吹亮二評論集『アンドレ・ブルトンの詩的世界』(後編)』をアップしましたぁ。詩人・朝吹亮二さんの評論集『アンドレ・ブルトンの詩的世界』の書評といふか、朝吹亮二論後編です。前編で鶴山さんは、朝吹さんは〝シュルレアリスムの正統後継者〟であると書いていますが、その理由が解き明かされています。

 

 朝吹が書いているように還元不能な言語は、意味やイマージュなどの「構造、関係だけを浮き彫り」にするものである。人間が作り出すことができる高度に客体的な言語であり、言語そのものとしか呼べないという意味で絶対言語だが、その姿は不定形だ。意味・イマージュの構造と関係だけを露わにする言語は無限増殖的であり、永遠の拡散言語にならざるを得ないからである。それを作品として完結させるのはほぼ不可能である。実際、朝吹を除けば最もブルトン的シュルレアリストであった瀧口修造の『詩的実験』は、その名の通り実験であり未完作品が多い。しかし朝吹は、この不可能を強引な中央突破的方法で可能にした。箱を用意し、無限増殖的エクリチュールを密室に閉じ込めたのである。

(鶴山裕司)

 

朝吹さんには『密室論』といふ難解な詩集の代表作がありますが、鶴山さんのやうな読解をすれば、この詩集はうんと読みやすくなると思います。鶴山さんは『朝吹は閉じた箱=密室を用意することで、無限増殖的エクリチュールを作品に閉じ込めた。作家が作品を書いて詩集に収録するのではなく、詩集=箱=密室に、本質的に無署名で客体的な無限増殖的エクリチュールを封じ込めたのである。『密室論』の主体はエクリチュールである』とも批評しておられます。

 

書評(朝吹亮二論)全体を読んでいただければおわかりになるように、鶴山さんは朝吹さんに代表される1980年代以降、詩の世界に詩人たち共通のパラダイムは存在しないとお考えになっています。パラダイムなど必要ないとお考えになる作家も大勢いらっしゃるでしょうが、石川はそうは思いません。ある文学ジャンルが同時代の変化を文学としてしっかり表現している時に、作家たちの間にパラダイムが成立します。パラダイムが無いというのは、文学が同時代性を失ったことでもあります。たまさか一冊本が売れてもある文学ジャンルは活性化しない。自由詩の世界はパラダイム(同時代性)を捉えられなければ、今後も衰退してゆくばかりでせうね。

 

 

鶴山裕司 『BOOKレビュー・詩書』『No.025 シュルレアリスムの正統後継者―朝吹亮二評論集『アンドレ・ブルトンの詩的世界』(後編)』 ■

 

 

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