小原眞紀子さんの新連作詩篇『連作詩篇『ここから月まで』第1回 鉄/温/矢』をアップしましたぁ。文学金魚では久しぶりの新連載詩です。小原さんは星隆弘さんの写真にインスパイアされて連作詩を構想なさったようです。作者とは異なる存在(人称)を設定して言葉を紡ぐ、ペルソナ詩法で詩を書いておられます。

 

僕が生まれたところは

空虚な(穴)

いつか鉄路がめくれて

ころころと落ち込む

闇に紅い火がともり

僕は打たれてほとばしる(悲劇)

世界に二筋の血が流れる

僕が泣くのは痛みのためでなく

たった一人で生まれたため

今まさに その意味を理解したため

(詩篇『鉄』)

 

文学金魚といふか金魚詩壇では、詩人さんたちを中心とした議論から、詩は原理として〝自由詩〟だといふ認識に立っています。いまだに自由詩を通称〝現代詩〟と呼ぶ場合が多いわけですが、新たな表現領域・方法を追い求める現代詩の時代は、1950年代から80年代半ばくらひまでで終わっていると思います。この〝現代詩の時代は終わった〟といふ認識は、是非詩人の皆さんで共有していただきたひですね。

 

乱暴なことを言いますと、もはや新たな言語表現領域や新たな言語表現方法は存在しないのだ、といふ認識に詩人さんたちは立った方がいい。もちろん今後も『ああ、斬新だな』と読者が感じるような詩は現れると思います。しかしそれが現代詩的方法(文脈)から出現するとは思えない。従来とは違う認識を持った詩人がそれを為すでしょうね。つまり〝現代詩は終わった〟といふ認識は〝新しさ〟に関する認識の転換を要求しています。現代詩的発想法や手法を取り続ける限り、既存の文脈から逃れられないでせうね。

 

また現代詩とは質の違う斬新な詩を探求しながら、一方で詩人さんたちは、自由詩のポピュラリティを獲得しなければならないと思います。はっきり言えば、自由詩の読者は自称プロ詩人と詩人の卵さん以外ほとんどいないですよね。一般読者がほとんど見当たらない。ひじょーにマズイ状況になっています。武士は食わねど高楊枝もいい加減にして、まぢ読者を魅了できる詩を模索しないと、ほんとに自由詩業界、沈没してしまひさうです。

 

石川は別に、わかりやすい詩を書いた方がいいと言っているわけではありません。しっかし意味とイメージのアクロバティックな飛躍を詩だとする現代詩的方法はアカンです。もはやそういう時代ぢゃありません。まだ文学金魚的な詩の模索方法に共感してくださる詩人さんは少ないですが、石川の勘でも金魚詩壇の方針は間違っていなひと思います。そういった作品を書いてくださる詩人のお一人として、小原さんの仕事に注目ですぅ。

 

 

小原眞紀子 新連作詩篇 『『ここから月まで』第1回 鉄/温/矢』 pdf版 ■

 

小原眞紀子 新連作詩篇 『『ここから月まで』第1回 鉄/温/矢』 テキスト版 ■

 

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