鶴山裕司さんの連載エセー『続続・言葉と骨董』『第021回 四角い古伊万里』をアップしましたぁ。今回はサラリと四角い古伊万里について書いておられます。鶴山さんは『丹念に探せばこの程度の変わり種の骨董は、比較的簡単に入手できるのが古伊万里の楽しさである』と書いておられますが、ホントかなぁ。鶴山さんは不肖・石川の骨董のセンセでありまして、彼からアドバイスをもらって自分でも骨董屋を覗いたりしております。でも四角い伊万里なんて見たことないぞぉ。値段が手頃なようなので、鶴山さんにとっては簡単に見つけ出せる骨董かもしれませんが、普通の骨董好きは探すのにけっこう苦労すると思います。
ほんで不肖・石川も、骨董の世界がだんだんわかってきました。この世界、データベース世界ですね。たとえば古伊万里なら、値段が高い物から安い物まで、かなり厳密な序列がある。もちろん新品の商品と違って標準価格といったものはありません。同じような物が一万円で売られていたり、5万円で売られていたりします。しかし100万の物が1万で売られていることはない。どこまで行っても上には上があり、下には下がある世界です。その序列が長い年月の間に自ずと定まって、大まかな価格帯になって定着しています。
鶴山さんに骨董のことをお聞きすると、ときどき手持ちの骨董の写真を使ってそれについて説明してくださいます。けっこういい物があるので、『これについては書かないんですか?』とお尋ねすると、『骨董業界でいい骨董と、それについて書ける骨董は違うからね』というお返事でした。む~確かにそうかもしれません。データベース世界なので、安物を出せば馬鹿にされますし、中途半端にいい物を出しても上には上がある。鶴山さんがネタにしておられる骨董は、値段がよくわからん物が多いです(爆)。
で、石川はミーハーなので、四角い古伊万里が欲しくなって(安いみたいですから)、鶴山さんに一個売ってちょとメールしたのでした。『掛花入以外ならいいですよ』という返信が届きました。むーん、やっぱそうかぁ。不肖・石川、実は図版を積み上げてちょっとお勉強したのです。掛花入、珍しいですよねぇ。石川が見つけられたのは、オークランド美術館所蔵の初期伊万里系の作品一点だけでした。香油瓶を譲ってもらふことになりましたが、石川は自分の目が上がったやうな気がしてちょっと嬉しかったのでしたぁ。
■ 鶴山裕司 連載エセー『続続・言葉と骨董』『第021回 四角い古伊万里』 ■