紫雲 連載小説『クローンスクール』(第17回 最終回)をアップしましたぁ。いよいよ最終回です。中国を舞台にした小説(フィクション)ですが、組織というものの恐さをまざまざと感じさせてくれます。政治も企業もある目的のために有機的組織を作り出します。いったんそれが出来上がると組織の意志が末端まで浸透する。
『クローンスクール』では国家のために〝使える〟従順で知性も運動能力も優れたクローン少女たちを育成しようとします。最高機密の国家プロジェクトです。しかしほころびが生じます。AIが実用化されていますが、人間にしかできない心身が連動した咄嗟の判断を下せるのがクローンです。しかしそれは遺伝子操作して教育しても人間の複製であり、機械のようには動いてくれない。人間的能力を極限まで引き出そうとすると人間が持つ不安定要素もまた増大してしまう。
ではプロジェクトが失敗したら組織は、国家はどう動くのか。ほとんど場合、なかったことにして、うやむやなままもみ消してしまう。それは独裁国家でも民主国家でも変わりません。いったんプロジェクトに予算が付くと途中で失敗が見えても継続されてしまう。誰かが〝失敗だ〟と叫んでもその声は消される。『クローンスクール』では緻密な世界観が展開されます。ただ組織は冷酷ですが人間世界である限り、ささやかでも希望はあります。
■紫雲 連載小説『クローンスクール』(第17回 最終回)縦書版■
■紫雲 連載小説『クローンスクール』(第17回 最終回)横書版■
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