遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第27回)をアップしましたぁ。今回は「『三四郎』第七章 広田先生」篇です。漱石先生の小説は、舞台設定がかなり狭いんだなぁ。ほとんどの小説が大学関連の舞台設定です。ほんで漱石先生自身がモデルの登場人物もいます。『三四郎』の広田先生は明らかにそうですね。
広田先生は与次郎から「偉大なる暗闇」とあだ名されています。スゴイ人なのにちっとも光らない、世間に名が知られないからです。またそれを気にしている素振りもない。でもこの広田先生が、モヤッとした形で主人公三四郎にいろんなヒントを与えます。
この章の内容は単純だ。広田の元を訪れた三四郎は、広田との対話で、与次郎が「田のなかを流れる小川」であり、美彌子が「優美な露悪家」であることを悟る。そこに画家の原口が来て、有識者の晩餐会に広田を誘う。そして、その原口が団扇を持った美彌子をテーマに絵を描こうとしていることを三四郎は知る。そして同じく原口の話を通して、事件の被害者である美彌子の兄恭助の、憎めない人物像が浮かび上がる。
遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』
物語は三四郎と美彌子ちゃんの淡い恋愛中心に進みますが、『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』のメインテーマはタイトル通り殺人事件の謎解きです。いよいよ核心に迫ってきました。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第27回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第27回)横書版■
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