池田浩さんの大学文芸誌時評『No.037 田村初美「カネタタキ」』(三田文學 2023年冬季号)をアップしましたぁ。田村初美さんは第二十六回三田文學新人賞を受賞なさった作家で「カネタタキ」が受賞第一作です。力の入った純文学小説になっています。ただま、言いにくいのですが小説完成度と現代文学(小説)はイコールとは言い切れないですね。
池田さんは『いつの時代でも人間世界の精神は重層化している。前時代からの精神が底の方にあり新たな時代精神がそれを相対化して更新してゆく。どちらも人間世界には必要だ。ただ時代が大きく変わろうとしている時期には両者の乖離が激しくなる。基層であり古いと言える精神をどう論じ現代に取り入れるのか。その手つきで現代作家の立ち位置がわかることもある。作品の書き方でそれがわかってしまうこともある』と書いておられます。
技術的完成度は低くても勢いがあり現代性を強く感じる小説はあります。その逆に完成度は高くても訴えかける何かが今ひとつということもあります。前者は勢いだけでは続かない。後者はどこかでエッと読者を驚かせるような勢いのポイントを見つける必要がある。どちらの方にアドバンテージがあるとは言えない。一つのポイントをクリアしたら次というのが作家の宿命であります。
■ 池田浩 大学文芸誌時評『No.037 田村初美「カネタタキ」』(三田文學 2023年冬季号)■
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