辻原登奨励小説賞佳作の、松原和音さんの連載小説『一月のレモネード』(第3回)をアップしました。推薦での大学進学を控えた女子高生ミクが主人公の物語です。小説は細部の描写の積み重ねです。主人公のミクは「POSってなに」と言いますからコンビニなどでアルバイトしたことのない女子高生ということになりますね。ある程度のお嬢さん。用心深いようでもあります。
ベタな言い方をしますとレモネードは甘くて酸っぱいイメージです。水のように広がる甘い世界に主人公を引き込んでゆくのは女性たちです。つまり主人公と同性の人間たち。松原さんは女性に対する視線が厳しいというか、よく見ておられる。着ている服、アクセサリ、小物などからその人の人間性などを観察している。
小説的に言うとこの水のように広がり、すぐになじんでしまう関係性を泡立たせ波立たせる仕組みが必要になります。批評的に見てしまうけれど女性の世界はなじみやすい。悪意などがあってもある程度はそれを見抜けるからです。あらかじめ予想していれば小さなトラブルなら簡単に解消できる。じゃ解消できないトラブルとはどんなもので誰がもたらすのか、が小説のアポリア。男しかいないでしょうねぇ(笑)。
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』(第3回)縦書版 ■
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』(第3回)横書版 ■
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