遠藤徹さんの連載マンガ『キノコの森』(第10回)&連載小説『物語健康法(入門編)』(第20回)をアップしましたぁ。『キノコの森』は遠藤さんらしい飄々としてブラックな作品です。そして『物語健康法』はいよいよ最終章です。主人公でベビーフェイスの真田寿福とヒールの海原泰山の1対1の直接対決です。もちろん『物語健康法』ですから物語対決になります。
『物語健康法』はその名の通り、小説というより物語を題材にした物語自己言及小説です。物語が物語そのものについて語る小説だと言っていい。ですから構造は単純な方がいい。こういったタイプの小説ではいわくありげに複雑な前提にするのが純文学の常套ですが、かえって主題が見えなくなる場合がほとんどです。物語自己言及小説である以上、それは思想小説でもあります。思想は肉体的なものでなくてはならず、またはっきりと把握できるものでなければなりません。また小説では思想は手に取れるような形で読者に伝わらなければならない。遠藤さんがベビーフェイスとヒールの単純な二項対立を援用しておられるのは、この物語が本質的には複雑だからです。
多くの小説家は今までにない作品を書こうとします。できれば意義深いもので、感情や思想の深いところを描いた小説を書きたい。最初は小説は複雑になるはずです。複雑な小説になると途中で行き詰まる。これは必然です。じゃあどうしたらいいのかと言えば、強引にブレイクスルーするんですね。ガタガタの小説になると思いますし、新人賞を含め商業出版の基準には合わない作品になる可能性が高い。しかしブレイクスルーした地点はムダではありません。そこで初めてなんの変哲もない小説形式で書くことの意味が実感できる。『物語健康法』は小説の手練れによる作品です。
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第20回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第20回)横書版 ■
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