小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『渦』(第24回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。今回は『渦』です。
数式は波のように
流れをつくり
ノートから溢れて
渚へ
砂の城の中で
姫が眠っている
時に閉ざされ
また解き放たれ
老いながら幼く
ひたすら眠りつづけ
いつか目ざめる
たおやかな流れが
ふいに転換する
(小原眞紀子『渦』)
小原さんは時々童話を下敷きにした詩をお書きになりますね。今回の『渦』でもいばら姫が登場します。詩は「大人になってから買った/『いばら姫』の頁の縁は/蔦や葉がぐるりと囲んで/ところどころに/花が咲いている」で始まるわけです。
童話が詩と相性がいいのは、共に根源的な何かに触れている、あるいは触れようという指向があるからでしょうね。物語が現実世界から始まって、現実以上の世界に抜けようとするところにもそれが表れています。
自由詩は今、文学として非常に低迷しています。この状態を変えるためにはあらゆる試行錯誤を繰り返した方がいい。童話的物語の援用もその一つです。小原さんは詩集『メアリアンとマックイン』からこの手法を採っていますので、意識的な援用ですね。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『渦』(第24回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『渦』(第24回)横書版 ■
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