小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『外』(第22回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連作詩篇です。コロナ騒動で原油先物は大変なことになってしまいましたが、日本でもアメリカでも株は堅調です。経済はホントに難しい。
あの真夏の日
あそこから一歩も出てない
雲ひとつなかった
真昼の球体から
島津製作所も
日本郵船も
ファーストリテイリングも
ソフトバンクですら
束になって
竹槍を持って
出掛けてはならない
誰が出るものか
外はいつだって
内にしかない
今に始まったことでない
夏目漱石も
シェイクスピアだって
うちのパパだって言ってた
(小原眞紀子『外』)
閉塞感が強くバラ色の未来が予測しにくい時代にコロナのような病気が流行すると、人は大きな変化を期待しがちになります。溜まりに溜まった不平不満が一気に噴き出して激しい社会批判にもなったりもする。それもまた「外はいつだって/内にしかない」ということなのですが、痺れを切らして『外』に飛び出しても、ほとんどの場合は『内』の延長線上にある社会としか出会えない。小原さんは「外は裏返して/内となるものだから」と書いておられますがそれも然り。籠もるといっても透明球体のようになって内と外を交流させなければ、なかなかその全体性、本質を捉えにくい時代です。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『外』(第22回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『外』(第22回)横書版 ■
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