寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『五、彼はきっとブラック』をアップしましたぁ。安太のトラブルに巻き込まれて、主人公は、かなりブラック名お方とお近づきになります。『本当なら断りたかった。この手の人物に借りを作ってはいけない。どうして安太の為に俺がここまで、とも思った。でも、もう引き返せないことは右田氏の表情を見れば分かる。今更「撤退」や「保留」は選べない。彼はきっとブラックだ』とあります。
人はあんまりタチのよくない他者にだまされることがあります。だまされるというと人聞きが悪いですが、体よく利用される、振り回されてしまうことがしばしばあります。本物の詐欺ではないですが、親しい人からそういう扱いを受けると意外と精神の傷は深い。ただそういう時は、その人の底の底まで見つめ、そういった小悪党のやり口を完全把握して相対化する必要があります。つまり『もう引き返せない』というか、引き返してはいけないわけです。ある意味だまされるふりをして、精神を緊張させながら〝乗っかってやる〟必要がある。
何か異変が起こると、人間はその原因を確かめたくなって現場に出向き、二次災害に遭ってしまうことがしばしばあります。それは極端な例かもしれませんが、そこに〝謎〟があると、人は確かめたくなる。小説でそれを描くと二通りの方法が考えられます。リアルに用心深く振る舞うか、ドツボにはまって最後には生命の危機にまで直面するか、です。どちらの方法も小説では有効です。ただどちらの場合でも、〝底〟に届いていることが必須です。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『五、彼はきっとブラック』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『五、彼はきっとブラック』横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■