日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第89回)をアップしましたぁ。今回は『金妙塾というパワースポットに袖村・蔦崎なる二大体質者が短期間であれ同居した事実から、体質的複合効果の諸事例が多数観測された(中略)。その中で後世長らく教科書的範例として語り継がれることになった……公式例題』についてです。袖村さんの伝染効果と蔦崎さんの感染効果が他者に及ぼす影響についてですなっ。
さて、小熊誠子の直後の動作はどうなるべきだろうか。(中略)
そう、動作というより、小熊誠子の身に、ありがちな或る事が起こるのである。
それは何か。
ヒントを要する読者のために、「それは次の条件を満たさねばならない」と再確認しておこう。
条件A。「徹頭徹尾、排便という行為にとって自然な出来事の連鎖でなければならない。〈袖村要因〉および〈蔦崎要因〉単独での作用の場合は感染者の身に多かれ少なかれ異例な物理現象が訪れることもままあったが、二波動の〈共鳴〉である以上、現象的に調和でなければならず、ハプニングの助けを借りてはならない。すなわち日常生活上のありふれた出来事推移の見掛けを逸脱してはならない」
条件B。「強力な二大感染波動が異質共鳴するのであるから、両方とも固有の特徴が抑制され合って各々の明瞭さを減ずることはありそうである。にもかかわらず、〈袖村要因〉〈蔦崎要因〉は識別できなければならない」
条件C。「別個の現象ではなく不可分なるひとつの現象によって〈袖村要因〉〈蔦崎要因〉が同時実現されなければならない」
以上三条件を満たす正解、小熊誠子の次の動作推移を――(中略)
おろち文化の申し子たる読者諸氏は必ず正解していただきたい!
(三浦俊彦『偏態パズル』)
三浦センセの『偏態パズル』は、原理原則的には快楽原理によって書かれていると思います。センセはおろちをこよなく愛しておられるんだなぁ。ほんでこの、社会一般常識では人の道に外れる偏愛を、三浦センセは真正面から養護し、反対意見を論破される。車好きだってブランド好きだって、変であることにはかわりない、おろちの何が変なのか正確に論証してみそ、と。ん~立派だ(爆)。
ほんで三浦センセの快楽原理には、ちょっと論理に淫する楽しみも含まれているのですな。プラトニズムの立場に立てば、論理は真理の論証のためにあります。三浦先生も基本、プラトニズムだなぁ。ご本尊はいつだっておろちなのでありましたぁ(爆)。
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