金井純さんの『親御さんのための読書講座』『No.041 『グラウンドの空』 あさのあつこ著』をアップしましたぁ。大ヒット作『バッテリー』シリーズの作家、あさのあつこさんの野球モノ小説です。
男の子は女の子に比べて本を読まない生き物ですが、『バッテリー』シリーズはけっこうはまって読むことがあります。その理由を金井さんは『それが心理描写のための心理描写であったり、人間関係そのものに価値を見い出したりするものではないからだった。球を投げること、打つこと、捕ること。それが自分たちである以上、自分たちの心理も球に付随して動く。そしてだからこそ、それは精緻で正確を極める心理描写になる、ということはあろう。・・・球は嘘をつかず、どんな筋肉の微細な動きにも反応し、その筋肉の動きに心理が影響を及ぼすなら、そのとき初めて心理が現前するのだとしても、それは動かしがたいものだ』と批評しておられます。
あさのさんの小説は爽やかなビルドゥングスロマンが多いです。それはヒット作になり得ますし、少年少女向け作品にはピッタリです。でもま、世の中そんなに簡単ではなひわけです。スポーツに熱中したことのある方は多少は経験しておられると思いますが、スポーツマンの嫉妬は凄まじいものでありまふ(爆)。それもまたスポーツの世界の現実です。あんまり見たくないスポーツマンの暗部ですが、それもまたネタになります。文学の世界では常に通り一辺倒の見方をせず、ある現象の全体を捉える必要があります。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座』『No.041 『グラウンドの空』 あさのあつこ著』 ■