田山了一さんのTVドラマ批評『No.072 ゴーストライター』をアップしましたぁ。フジテレビさんで放送されているドラマで、中谷美紀さん、水川あさみさん主演です。売れっ子作家(中谷美紀)とそのゴーストライター(水川あさみ)のお話です。田山さんは「出版界の現状が、今までにないリアリティをもって示されている」と書いておられますが、けっこうリアリティはありますね。脚本は『僕の生きる道』などで有名な橋部敦子さんで、演劇・放送業界の方が詳しいお方ですが、出版界が放送界に似てきた面があるのかもしれまへん。
不肖・石川も出版界の人間なので、なかなか書きにくい面があるのですが、田山さんが「受賞者たちが新人賞の応募作を下読みし、一次予選通過作を決めている」、「編集者でさえ、自分がよいと思った作品を本にできる立場にない」と書いておられることなどは大筋事実ですねぇ。致し方ない面はあるのですが、「凡庸な自作のことで頭がいっばい、しかもそれをよい出来だと思い込んでいる下読みさんたち(過去の新人賞受賞者たち)の目が曇ってない保証はない」面はあるなぁ。少なくとも中立ではあり得ないでせうね。
まー出版界が、小説業界まで含めて「貧すれば鈍す」状態になりつつあるのは否定しにくい現状でせうなぁ(涙)。編集部はどこもかしこも人員削減と優秀な人材の流出に悩んでおりまふ。なかなか優れた新人が出ないのか見出せない状況になっているのか、そこんところは微妙ですが、とりあえず売れている作家の取り合いで現状維持を図ろうといふ傾向が強いのも確かでありまふ。出版界も営利目的の実業の一つではあるわけですから。
テレビ・映画業界などが、とにかく〝物語〟を欲しがっている以上、大衆文学を中心としたそこそこ優秀な作家への需要はこれからも衰えることはないと思ひます。だけんど詩や純文学小説の業界はどーかなぁ。多分、一強百弱のやうな状態になると思いまふ。今のところ〝一強〟と言える作家は現れていませんが(爆)。もちろんこのやうな状況に絶望するのかチャンスと見るのかはみなさん次第です。みなさんには作家も編集者も含まれるわけですが(爆)。
■ 田山了一 TVドラマ批評『No.072 ゴーストライター』 ■