寅間心閑 連載小説『ど、泥卍』(第02回)をアップしましたぁ。玄関で倒れ込んだままだった男が、ようやく起き上がります。起き上がると同時に彼の意識はすでに別のところへ飛んでいる。夢と記憶がなだらかにつながる独特の朝の感覚の中で、旅の記憶がドミノ式に蘇って来ます。いい出だしですねぇ。
で、男は高校時代の北海道行き、調理師学校時代の鴨川の野宿、福岡・中洲の屋台と記憶をたどり、旅に出ようと決める。きっかけはジュリー・アンドリュースが歌う「マイ・フェイバリット・シングス」。ここが実に寅間さんらしい。寅間心閑の肴的音楽評もぜひお読みください。
主人公は旅をしたいわけではなく、旅そのものより「兆し」、解放されそうな兆し、自由になれそうな兆しが欲しい。でも電車に乗る寸前に、スマホの着信履歴を見てしまう。今回登場するのは、なにかっていうと「「死なせて」とか「死ぬ」とか言い出す」めんどくさそうな女。あ、小説の登場人物に人権はありませんからね。
男は電車に乗らない。旅に出ない。自由になれない。「このホームにいる誰よりも俺は不自由だ」とつぶやくわけですが、人間存在は不自由。さまざまな関係性にがんじがらめに縛られている。泥卍ですねぇ。
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