露津まりいさんの新連載サスペンス小説『香獣』(第09回)をアップしましたぁ。今回も聞香の源氏香のシーンから始まります。露津さんは物知りだなぁと思いますですぅ。でもそんなことご本人に申しあげやうものなら、「取材して勉強して書いてるに決まってるだろーがこのアンポンタン」と古典的な用語でお叱りを受けてしまひそうです。不肖・石川、どーも女難の相といひますか、女性作家さんたちの格好のいぢめの対象になりやすひやうです(爆)。
昨日池田浩さんがミステリ小説について、『ミステリのキーワードには、ミステリを成り立たせる主要な概念が含まれている。それらはつまり、人間にとっての謎をどこに見るか、という極めて観念的、本質的な問いへのそれぞれのスタンスである』と書いておられました。こりはよく考えてみると、露津さんのサスペンス小説にぴたりと当てはまりますな。露津作品には単なる謎解きではなひ、人間存在を巡る謎が張り巡らされています。
今回は新たにプレス担当の千帆といふ女性が登場します。この女性もなんらかの役割を担わされそうな気配です。それに十樹さんが行方不明です。それも伏線になるのでせうなぁ。『香獣』は網の目小説です。蜘蛛の巣は捉えられると無間地獄ですが、その果てはある。また、撓みといふ形であれ中心も措定できる。『香獣』はポスト・モダン小説でもあるといふことではないかと思いますぅ。
■ 露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第09回) pdf版 ■
■ 露津まりい 連載サスペンス小説『香獣』(第09回) テキスト版 ■