今日は会社休みます。
日本テレビ
水曜 22:00~
漫画が原作である。全体から溢れる漫画感だが、特にヒロインの独白がちなところに、漫画というのは小説同様、テキストだったのだな、と感じる。独白を繋いでゆくと、私小説になるわけである。「わたしは女をこじらせている」という自己規定や内省が前提になると、ご都合主義な感じは薄まることになる。
逆に言えば、テレビドラマになるとプロットが際立ち、ご都合主義的な印象が前面に出てしまうことになる。綾瀬はるか演じるヒロインは、30歳まで男性経験のない、こじらせOLという設定だが、まあ単に眼鏡をかけている美女にしか見えない。自分の美しさになぜ気づかないでいられるのか、その謎の方に気がとられてしまう。そうであっても、つい見てしまうならテレビドラマとしては成功なので、数字も大変よいと聞く。
綾瀬はるかがものすごく芝居が上手いかどうかは置くとして、番組のサイトなどで見るスチールには感心した。美しくない。こじらせ、昔で言うところのイキオクレOLそのものの顔で写っている。撮影されただろう多くの写真の中で、これを使おうというのは英断だし、使わせた女優もえらい。この一枚で、ドラマのリアリティは支えられる、かどうかはわからないが、支えるしかない。
ごちゃごちゃ言っても、何となく見てしまうのは、そんなご都合主義こそが女子の夢だということなのだろう。優しい両親の一人娘としてぬくぬく暮らし、都会生活の快適をも享受し、人間関係で傷つくことを避けながら、あるときイケメン大学生(福士蒼汰)の彼氏ができ、同時に同じビルの会社のCEO(玉木宏)から言い寄られる。
さらに言えば、この玉木宏CEOがヒロインに言い寄りながら、なぜか福士イケメン大学生との恋にアドバイスするという、素晴らしく都合のいい役回り。CEOにはヒロインの後輩(仲里依紗)に激しく言い寄られてもソデにして、こじらせOLであるヒロインをかまいたがる。そんなバカな。
仲里依紗は一瞬、『櫻の園』の中島ひろ子と見間違え、えっらい若いなーと思ったものの、そんなはずもなく。ほんでこの後輩、「結婚はビジネス」と言い切り、ターゲットのCEOが関心をもつ先輩のこじらせOLを憎むでもなく、バカにすることもなく。なんていい境遇なんだー。
声を大にして誤解を(する女がいるかもしれないから)正したいのは、福士蒼汰のような大学生はいない、ということだ。「あまちゃん」の種市先輩でブレークしたサワヤカ系は確かに21歳だが、いや、得がたいなぁ。大学生として生活している坊ちゃんたちは、このように大人びた繊細な表情を見せたりしない。そこんとこ、わかっといた方がいいかも。
30女が少女のようである、というのは紛れもなく現代の図だろう。ならば現代の21歳の男の子は、それ以上に幼い。大人びて遊び慣れて、なおかつ都合のいいところだけ純情だったりするなら、そこには特異な事情があるはずで、本来ならばそれが「ドラマ」になるはずなのだが。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■