日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第44回)をアップしましたぁ。今回は『印南哲治の心理的崩壊の経過を整理してみよう』で始まるのですが、心理崩壊しようと何が起ころうと、転んでもタダでは起きない印南さんです。北池袋の香港エステ『茉莉花』に勤務するエステシャン、31番さんと運命的な出会いをするのであります。運命的出会いといふからには、ああた、恋なのですよ、純愛なのでありまふ。
しかし三浦先生の小説ですから、恋といっても一筋縄ではいきません。31番さんは日本人と中国人のハーフなのですが、日本語がよくわかりません。そのため印南さんが口説いても、言葉の意味が伝わらないのです。だからこそ、『自分の俗な贅を尽くした言葉のうち音声波動成分以外の意味的指示的全成分が全部無駄弾として浪費されているかと思うと印南はいいようもなく興奮し勃起した』といふ現象が起こるのだとも言えます。コミュニケーションが不可能であることも、印南さんが31番さんに恋した理由なのでせうね。
三浦センセの小説、誰が読んでも偏っていまふ(爆)。ただ小説で問われるのはその表現方法です。どの作家・作品にも主張(思想)がある。その主張・思想が一種特異なものであればあるほど、作家の社会性が試されると言っていいでしょうね。印南さんが31番さんのコミュニケーションの不可能性は『偏態パズル』といふ作品にとっては本質的なものです。お二人の恋の行方がどーなるのか、楽しみですぅ。
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第44回) pdf版 ■
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第44回) テキスト版 ■