東京上級デート2
テレビ朝日
水曜 2:06~
内容的には、なかなか興味深い。深夜の情報番組として、お得感もある。が、いまいちコンセプトがよくわからないな、と思ったが、要するにこれはバージョン「2」なのだ、ということだろう。それによって「上級」の意味するところがずれてきたわけである。
江戸の教養知識を織り交ぜつつ、フツーにデートスポットを紹介しているだけと思いきや、ストーリー仕立ての設定があるという。大学で歴史を専攻するヒロインが、失踪した歴史学者の父の手帳をもとに、江戸の町の謎に迫る。って、遊んでるだけに見えるし。まあ、毎回それに付き合っている同級生がヒロインに想いを寄せている、ということで一応「デート」ということか。
もとのバージョンは、あのホイチョイ・プロダクションの『新 東京いい店やれる店』をベースとした、口説きスポット紹介の企画だったようだ。ていうか、この本の発売に合わせてスタートしている。ホイチョイ・プロダクションって、まだあったのか、とちょっと驚いた。
若者と言えば、好景気を知らずに家飲みばかりしていて、あの品のない業界ノリを都会ふうとすり替えたホイチョイのコンセプト(という軽薄な言葉も、その時代からだ)と接点があるとは思えない。そもそも口説くために大枚はたいて女を接待するって、いつの話なんだ。公務員になりそうな草食男子に、ブタのごとく地味で貪欲な女子が食らいつくという時代を経て、再びバブルの兆しがあるのか。
つまりは、「東京『上級デート』」とは、口説くのに成功するデートスポットの紹介であり、「『東京上級』デート」とは、東京の歴史というバッググラウンドを透視しながら行うメタ東京のデートということだ。結局、どちらもデートという概念がそれ自体を目的として立ってゆけるとは思ってない、という共通点がある。
それはホイチョイとともに歳をとった連中だけでなく、今の若い子たちもそうなのだろうか。何ごとも経済的事情が先立つというのには夢も希望もないが、デートが調査、研究、探訪といった目的と重ね合わされて一石二鳥なら、それに越したことはないということか。調査費などが出るなら、なおよいだろう。
老若男女を問わず、他者に夢を見ないというカルチャーが浸透しつつあるなら、それは一種の成熟であり、退行でもある。恋愛幻想は確かに、時代遅れになりつつある。こう情報が氾濫していれば、夢など持てるはずもない。代わりに気にかけるものが人によって違うだけだ。東京の歴史という知的関心であれ、金銭的な計算であれ、重ね合わされて二倍の時間を過ごしたという充実感を売ることになる。
豆知識で女の子にポイントを付けてもらい、モテるデートを演出したかどうかというゲームをするテレビ番組もあった。そんなことでモテるはずもないと思いつつ、定量的に量れるものに頼るポーズは時代のものではある。そもそも「東京上級デート2」のヒロインを演じる女の子は、毎回違う。設定とデータが同じなら、別人だということすら、同級生の男の子、すなわち視聴者の視線は捉えないということだろうか。
山際恭子
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■