池田浩さんの文芸誌時評『No.012 小説すばる 2014年04月号』をアップしましたぁ。エッセイ特集『8パーセントのその前に』を取り上げておられます。前にも書きましたが、小説文芸誌の特集はけっこういい加減です。編集者は小説作品にほぼかかりっきりで、特集は〝月刊〟誌といふアイデンティティを保持するための片手間仕事なのであります。ほれに文芸誌から『8パーセントのその前に』なんていうお題で、しかも短いエッセイを依頼されたら、誰だって困ってしまひますよねぇ(爆)。
ただま、池田さんのコンテンツは明快です。『文学と深く関わるのは、自由のあり方である。・・・とすれば、消費税の 3 パーセントの値上げが、我々の自由度にどう影響するか』、と論点を整理しておられます。しかし自由は金銭ほど明確に計ることができません。『自由には様々なフェーズがあり、それらは互いに完全に無関係ではないものの、それぞれ独立している。・・・自由度とは、どの種の自由を手にしているか、ということに過ぎず、3 パーセント分の自由度が増したり減ったりすることはない』わけであります。
ちょっと実も蓋もない論旨ですが、不肖・石川は池田さんが書いておられる通りだと思います。溜め込むのもよくないので書いてしまいますが、こういふおざなりの特集を組むくらいなら、文芸誌は新人作家の作品を一本でも多く掲載した方が良いと思いますよ。文学業界を見渡しても、このお題でほぼ確実に面白いエセーを書ける作家は、ほんの数人しかいないだろうなぁ。逆に言えばかなり難しいお題であり、引き受けたからには作家の力量が否応なく試されてしまう。君子危うきに近寄らずといふのも、作家の力量だと思いますぅ。
■ 池田浩 文芸誌時評『No.012 小説すばる 2014年04月号』 ■