金井純さんの『親御さんのための読書講座』『No.031 またやぶけの夕焼け』をアップしましたぁ。ノンフィクション作家で翻訳家の高野秀行さんの少年小説です。金井さんは、この本を読んで、『とにかく子供が笑う。特に男の子がゲラゲラ笑い転げるのである』と書いておられます。男の子の琴線に触れる作品なのです。
その理由を金井さんは、『今の子供にとって、読書は「勉強」である。読んだ端からテストに出題され、その「意味」について考えさせられ、答えさせられるのだ・・・しかしながら、この世の中というものは、そう意味のあることばかりではない。というより、九割方、意味のないことに満ち満ちている。・・・元気がある、ということは、この無意味さに耐える力がある、ということだ』と書いておられます。その通りですねぇ。男の子、意味のないことが大好きであります(爆)。
ゲームが子供たちの遊びの主流になり、DVDなどが普及してヴィジュアル作品が手軽に楽しめるようになった現代では、読書好きはちょっと変わった子供のやうです。算数や理科の試験で、問題文の意味がよくわからにゃい、と訴えるお子さんも増えているといふ現状があります。不肖・石川、もっと本を読めと演説するほど保守的ではありませんが、これだけ選択肢が拡がってしまった世界では、なぜ本を読むのかといふ動機付けは必要でしょうね。
本は始まりと終わりがある一つの世界=小宇宙です。それを読み通すことは、子供が世界の縮図である小宇宙を生きることを意味します。漢字などを覚えることが優先されるのではなく、まず世界の輪郭を感覚的に把握するのが最も重要だと思います。また文字から生じる音とヴィジュアルの想像世界といふものも確実にあります。それは子供たちの感性を広げるのに役立つでしょうね。
もちろん長いロールプレイング・ゲームなども一つの世界=小宇宙です。そこから得られる刺激は、本とはまた違う成長を子供たちにもたらしてくれるでしょうね。ただ本と同じで途中で投げ出してはダメです。それをやり抜く、その世界を最後まで生き抜くことが重要です。できれば良質の本やゲームを子供たちに与えたいですね。優れた作品を選び、最後までやり抜くのを見守るのが、現代の親御さんの教育の一つかもしれません。
■ 金井純 『親御さんのための読書講座』『No.031 またやぶけの夕焼け』 ■