金井純さんの連載 BOOK レビュー 『絵のある本のはなし』 『 No.002 『星の王子さま』 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著』 をアップしましたぁ。言わずと知れた飛行機乗りサン=テグジュペリの代表作であり、児童文学を代表する名作です。金井さんはサン=テグジュペリの絵について 『上手いわけではないし、ピントもずれているかもしれない』 と書いておられますが、『星の王子さま』 はフランスでは死後刊で、著者の意図とは異なるやり方で挿絵が掲載されたようです。ガリマール書店が 1999 年に修正版を出しています。
微修正が加えられたとはいえ、『星の王子さま』 の絵の力は絶大ですね。キャロルの 『不思議の国のアリス』 と同様、絵がない 『星の王子さま』 はちょっと考えられない。ただテニエルの挿絵がその後、多くの画家によって様々に解釈され、面白い作品を生み出したのに対して、『星の王子さま』 は初版本のイメージが守られているようです。フローベールの傑作短篇 『純な心』 に通じるような、純一のイメージと意味を持っている作品だからでしょうね。『アリス』、『ピーターパン』などイギリス童話は映像的に再解釈を誘う作品が多いですが、フランス文学はただ一つのイマージュを喚起し続けているようです。
ほんで確か、サン=テグジュペリは休暇中にニューヨークで 『星の王子さま』 を書いたんですよね。記憶がちょい曖昧ですが、ニューヨーカーの小説家、ポール・オースターがどこかでそんなことを書いていたやうな。ニューヨーカーなら、『星の王子さま』 がニューヨークで書かれたといふのは自慢だろうなぁ。もっともサン=テグジュペリはニューヨークのホテルで、ここは砂漠ぢゃないんかい、といふ夢想を膨らませていた可能性があるんですが (爆)。
■ 金井純 連載 BOOK レビュー 『絵のある本のはなし』 『 No.002 『星の王子さま』 アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著』 ■