鶴山裕司さんの連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No.017 『Unicorn』 その二 (第 2 号) 』 をアップしましたぁ。昔の文学雑誌や初版本は、一部好事家の黴臭い愛玩品になっていることが多いです。しかしそれらは読むために作られている。刊行から時間が経ったら経ったで、制作当時は当事者たちが無意識として抱えていた何ごとかも読み取れるようになります。鶴山さんの 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 は、〝未来のために過去を読み解く〟 というスタンスがはっきり示された面白い試みだと思います。
資料的価値の高い同人誌や雑誌は、復刻版として再刊されることもあります。現在ではオリジナルをスキャナーで画像データにすることが簡単にできます。スキャンデータを元にした CD ブックは、解像度が高ければ紙版よりずっと正確な資料になります。でも現実にはなかなか難しいでしょうね。関係者全員の同意を得なければなりませんし、中には若書きが公になるのを嫌がられる方もいらっしゃると思います。そういうわけで、鶴山さんの 『初期同人誌を読む』 もコンテンツ内容に関連した記事の引用という形になっています。
ただ CD ブックは資料刊行という面で、一つの出版形態になっていく可能性が充分あると思います。例えば 『Unicorn』 にしても、どうしてもオリジナルが欲しい方は少ないでしょうね。内容が確認できれば十分という方が大多数だと思います。それにデジタルデータなら、内容をデータ化して検索性を上げることもできます。これは全集などでも同じかもしれません。辞書などと同様に、データ化した方が読者の利便性が上がる場合があります。
問題は値段ですよね。ちょっと読みたいという資料に関しては、何万円も出す読者はいないでしょうね。せいぜい 2、3 千円というところかな。google books がやっているように、スキャンデータ本が非常に安価にできるのも確かです。著作権、収益等を考えると問題山積ですが、紙だけでなくデジタルデータも活用する流れは、今後ますます加速していくと思います。金魚屋でも関係者の同意を得られる資料があれば、CDブックの刊行形態もちょい考えていきたいと思いますぅ。
■ 鶴山裕司 連載評論 『安井浩司参加初期同人誌を読む』 『 No.017 『Unicorn』 その二 (第 2 号) 』 ■