金魚屋では昨年の 10 月 8 日から 14 日まで、銀座の Gallery NOHA で 『安井浩司 「俳句と書」 展』 を開催し、文学金魚で岡野隆、田沼泰彦、鶴山裕司、山本俊則さんによる墨書展開催記念コンテンツを掲載してきました。岡野、鶴山、山本さんは現在連載 15 回、田沼さんは 5 回分を掲載していますが、皆さんの原稿がほぼ揃いましたので、最終 5 回分ほどを順次アップしていきます。今回は各著者ごとにできるだけまとめて掲載します。
田沼さんが 『 No.006 『声前一句』 の眼』 で取り上げられておられるのは野田誠さんです。不肖・石川、野田さんについては詳しく存じ上げないのですが、引用されている俳句を読むと、広義の社会批判的視点を持った俳人の方のようです。もちろん高柳重信主宰の 『俳句評論』 同人の方ですから前衛的指向もお持ちです。詳しくはコンテンツをお読みいただければと思います。
そんで現代俳句の世界には 〝社会性俳句〟 という文学潮流があります。金子兜太さん主宰の 『海程』 がその中心のようです (だった、と言うべきでしょうか)。ほんで不肖・石川、どーも社会性俳句がピンとこない。焦点が合わないんですねぇ。共産党・社会党シンパの左翼でもなかったみたいだし、なにをもって 〝社会性俳句〟 と呼ばれているんだろ。各時代の社会状況を作品に取り入れるのは、文学の世界では普通のことですよねぇ。
そこのところを文学評論としてきっちり書いてくださる方はいらっしゃらないかなぁ。文学金魚は安井さんの墨書展などを開催したので前衛俳句寄りのイメージがつきかかってますが、そんなことはないのであります。できるだけ俳句を文学として捉えたいと考えているだけであります。バランスを取る意味でも、伝統俳人を自負するキレモノの著者の方が是非欲しひですぅ (爆)。
あ、『俳句を文学として捉えたい』 といふのは理念の問題ですが、技術的な問題でもあります。業界内で通用するだけの言葉と観念で書かれた評論は文学金魚ではアウトです。少なくとも他ジャンルの文学者が読んだ時に、ああ、なるほどと得心できるくらいには論理的かつ平明な文章を書いていただきたひ。伝統俳句はすごいんだぞといふことを、〝外の世界〟 に周知徹底させたひキレモノ俳人の方をお待ちしていますぅ。
■ No.023 『安井浩司 「俳句と書」 展』 開催記念コンテンツ 田沼泰彦 『 No.006 『声前一句』 の眼』 ■