山際恭子さんのTVドラマ批評 『No.026 あまちゃん』 をアップしましたぁ。ご紹介するまでもないですが、NHKさんで放送中の朝の連ドラです。山際さんが書いておられるように 『民放の若向きのドラマで定評のある宮藤官九郎が初めての NHK、それも朝の連ドラにここまでハマるということは、誰にもなかなか想像しがたかった。しかしながら、よくよく考えてみれば、その要素は十分にあった』 のであります。
不肖・石川も官九郎さんの脚本は大好きです。最初に彼の名前を覚えたのは 『池袋ウェストゲートパーク』 でした。見終わってすぐ脚本は誰なんだ!って調べましたもの。あれは新鮮だったなぁ。言葉が極端に削られ、端折られている。そのぶん俳優の演技力が必要とされるわけで、山際さんが 『クドカン作品の多くは、まず視聴者に先立って、俳優たちが楽しんでいることが伝わってくる』 と書いておられる通りです。
『あまちゃん』 は朝の連ドラに求められるコードを全部引き受けた上で、新しい風を吹き込んだ作品だと思います。なんでもアリの世の中で、かつ大人も子供もコドモっぽい (笑)。官九郎さんはその脚本のイメージ通り、インタビューなどを拝見していても少年のような心を持っておられる方だと思います。それがマイナスに働いてしまった作品もありましたが、今回ははまったな。
一言で言えば、〝時代の風を捉えた〟ということだと思います。無風でなんの手がかりもないように思えても、時代の風は必ず吹いています。テレビと文学の世界は違う面が多々ありますが、時代のベースは共通しています。なんでもアリでみんなガキ (笑)。少なくとも文学の世界では、一昔前のような文士や大家はもう存在し得ない。年齢に関係なく、足掻いて、新しい試みを為し続けた作家が 21 世紀初頭で最も尊敬される文学者になるような気がします。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.026 あまちゃん』 ■