鶴山裕司さんの連載エセー 『続続・言葉と骨董 第 013 回 前漢の陶俑』 をアップしましたぁ。紀元前 206 年から紀元 8 年までに中国大陸に存在した古代王朝・前漢の、兵士俑頭部を取り上げておられます。六代皇帝・景帝 (けいてい、BC156 ~ 141 年) の陵墓である陽陵に隣接して、皇帝側近などが埋葬された陪葬陵があるそうですが、そこからの出土品らしいです。
それにしても鋭い目つきといふか、怖ひお顔の兵士俑だなぁ。『漢民族が一番闘争的な顔をしていた時代の俑です。秦・漢時代は中国が初めて全土統一されて皇帝の力が絶大だったんです。この時代は王族貴顕の陵墓がほとんどだから、造形的に優れた物が多い。でも俑は漢民族好みかな。満民族の元・清の陵墓からは俑はあまり出てないね』 と鶴山さん。それにしても 2200 年前の遺物かぁ。遠い目になっちゃいますね (笑)。
不肖・石川の職場の近くに古本屋さんがあって、時々ワゴンで美術雑誌を買ったりします。それで気づいたんですが、最近では有名美術雑誌でも実際に骨董の売買をされている古美術商の方に原稿を依頼しているんですね。よそ様の雑誌の見識ですから別にいいんですが、編集者としては 『ん~』 と思わないでもないなぁ。古美術商の方は、原稿で在庫品を宣伝することもできるわけです。実際そうしておられる方もいらっしゃる。〝利害関係者〟 である古美術商の方はサブにして、商売とは無縁の文学者の原稿をメインにした方がいいんぢゃないかなぁ。ま、まともな美術原稿を書ける作家の方がいなくなったといふことかもしれませんが。
美術の世界は投資の世界でもあります。お金持ちの余剰金が流れ込むんです。画廊や古美術商が仲介するわけですが、物書きの中にもその恩恵を受けている作家がたくさんいます。美術家の個展カタログに文章を書くことなどで、それなりの収入を得ておられる。ぶっちゃけ美術を見る目に自信のない投資家に、『これはいいですよ (つまり将来値段が上がりますよ) 』 と美術品を勧めること込みの役回りですね。
それがいけないといふわけではなく、実際に美術品を売買されている方にしてみれば、『そこまで含めて美術界はある。純粋に素晴らしい作品を売買するだけで美術界が成り立っているわけがない。そんなの夢だ』 といふことになるでしょうね。そういう要素は文学界にもなきにしもあらずですから難しいところです。でもま、文学金魚はできるだけ夢を食べて丸々と太っていきたいと思いますですぅ (爆)。
■ 鶴山裕司 連載エセー 『続続・言葉と骨董 第 013 回 前漢の陶俑』 ■