釈照太さんの詩誌時評 『No.012 角川 『俳句』 2013年03月号』 をアップしましたぁ。角川俳句さんを中心に、江里昭彦さんの論考などを援用することで、戦後の俳壇の流れを検討しておられます。伝統派と前衛派の対立を、角川 『俳句』 と高柳重信編集の 『俳句研究』 に読み解いておられます。まあコトは意外と複雑といふか、旗色はそれほど鮮明ではなくて、多くの前衛俳人は年を取るほど灰色がかってくるわけですが、俳句の世界に伝統指向と前衛指向という2つのベクトルが存在するのは確かなようです。
今、ロシアのボリショイ・バレエ団が、現役芸術監督襲撃事件で大もめにもめております。ワイドショーによると、伝統派と改革派の対立がその根っこにあるのだとか。マンガ家のやくみつるさんが、『そういう対立は昔からあって、それがボリショイの伝統なんだと思います』 とおっしゃっていました。さすが元日本相撲協会外部委員 (笑)。思えば近代俳句は、子規死去の直後に、伝統派の虚子と前衛派(新傾向派)の碧梧桐一派に分裂しております。
そんで重信死後の前衛指向の俳人の中には、〝重信コンプレックス〟 の気配があるやうですねぇ。重信がもっと長生きしていれば、今の俳壇は変わっていたはずだといった願望(幻想?)です。まあそー言わずに、ご自分たちの手で重信なみの手腕を発揮して、俳壇を変えていったんさいよと感じないでもないなぁ。重信門下の俳人の中には、地道に師の仕事を検証しておられる方がいらっしゃいますが、若い俳人でまとまった重信論や前衛俳句論を書く方は少ない。書くことだけでなにかを変えるのは難しいですが、書かなければもっとなにも変わらないと思うわけです。
■ 釈照太 詩誌時評 『No.012 角川 『俳句』 2013年03月号』 ■