山際恭子さんの TV ドラマ批評 『No.016 夜行観覧車』 をアップしましたぁ。原作は湊かなえさんです。『告白』でデビューされた作家さんですが、このところ映画やテレビドラマ化が続いています。登場人物の輪郭が明確で、映像が浮かぶような文章をお書きになる作家さんですが、それだけでなく、やはり時代の雰囲気をよく捉えておられます。
湊作品の魅力は、サスペンスモノとはいえ、謎解きなどが目的になっていないことでしょうね。もちろん、どんなサスペンスでも人間関係の機微が表現されているのですが、湊作品では 〝事件〟 をきっかけに、人間関係そのものの歪みがクローズアップされて描き出されます。普段は生活の底に押し込められている欲望、理由のない怒りや嫉みが炙り出されるから、スリリングなのではないかと思います。
小説の一読者としての感想に過ぎませんが、現在、女性作家の方が勢いがあるといふか、時代を捉えているように感じます。男たちはとらえどころのない社会に向けて、両手を拡げて空を掴んでいるような感じですが、女性作家たちは、家庭や学校、夫婦関係や地域コミュニティなど、普遍的で地に足が付いたところから社会を描いているように感じられるのですぅ。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.016 夜行観覧車』 ■