後藤弘毅さんの連載映画批評 『 No.016 『マネーボール』―演技とリズムと映画 』 をアップしましたぁ。ブラッド・ピットさん主演のベースボール映画ですが、冒頭で 『本作は、野球界を舞台にしているが、野球を魅力にしているわけでもないし、GM の苦労話を売りにしているわけでもない』 とガツンと断言的導入が来るところが後藤さんの映画批評らしくてとってもいいです(笑)。
みなさん映画が好きだから映画評をお書きになるのでしょうが、文章を読めば、どう好きなのか、どこまで好きなのか、自ずとわかってくるものです。
例えば、あの暗闇の中でブラット・ピットがベンチに座り、広大な闇の球場を見つめながら「結果が怖い」と怯えるオープニングないし中盤のシークエンスを思い出してほしい。結果を怖れる野球少年のように、ラジオをつけたり消したりする時間的な沈黙。また映画館でしか表現できない漆黒の闇と光を彼の瞳に輝かせ、クロース・アップした瞳の表現が彼の曖昧な心理を感覚的に抱かせる。
今回の後藤さんの映画批評の一節ですが、僕は実際に『マネーボール』を見ても、後藤さんの文章の方を長く記憶しているかもしれません。あるいは後藤さんの言葉とともに、ブラッド・ピットの姿を脳裏に焼き付けるかもしれない。映画っていいな~、と思いますが、質の高い映画批評もとってもいいものであります。
■ 後藤弘毅 連載映画批評『 No.016 『マネーボール』 ― 演技とリズムと映画 』 ■