長岡しおりさんの文芸誌時評 『 No.002 Feel Love Vol.16 』 をアップしましたぁ。特集は 『中田永一百科事典』 です。中田永一さん、失礼ながら石川は知らなかったので、例によって wiki で調べてみました。『乙一』 や 『山白朝子』 などのペンネームでも活躍されている作家さんのようです。『中田永一』 よりも、『乙一』 のペンネームの方が有名なようですね。
それにしても、実に趣味 (好み) が多様化した時代だなぁと感じます。小説家では村上春樹さんなどがダントツで有名ですが、あくまで純文学系の作家の中で一番名前が知られているといふことで、村上さんよりも本が売れている作家さんはたくさんいらっしゃいます。文学を利益を得るための 『商品』 と捉えるのなら、一番売上高が多かった作家が 『文豪』 といふことになります。でもそう簡単にいかないのが文学の難しいところです。
文学は時代の精神そのものです。『源氏物語』 のない平安時代は考えられないですし、夏目漱石の 『坊っちゃん』 が書かれていなければ、僕たちが抱く明治時代のイメージは、今とは違うものになっていたかもしれません。
以前、このブログで書きましたが、ロングセラーであれ、売れなかった (読み継がれてこなかった) 文学の名作といふものはありません。しかしある時代に爆発的に売れたからといって、それが名作になるとは限りません。読み継がれる、つまり名作であると同時に、同時代でも売れる作品が理想なんでしょうね。贅沢で難しいことなのかもしれませんが。
■ 『 No.002 Feel Love Vol.16 』 ■