池田浩さんの文芸誌時評 『No.001 紡 vol.6 (2012年07月)』 をアップしましたぁ。登山をテーマにした、佐川光晴さんと谷村志穂さんのエセーを取り上げておられます。佐川さんは山登りをしない派、谷村さんは実際に山登りをされるそうです。文学の世界のお話しですから、実際に山登りをしようとしまいと、人間は登山についての思考を練り上げていけるわけです。
空に近い、つまり天上に近いと感じさせるので、登山を巡る文章は、ある神性を捉えようとしている場合が多いと思います。欧米作家ではヘッセやトーマスマンが思い浮かびます。日本ではちょっと古いですが 『暗夜行路』 の志賀直哉とかです。両者を比較すれば神性の捉え方の差は歴然としています。欧米の神性は陰に日向にキリスト教の影響を受けていますが、直哉は完全な汎神論ですね。『暗夜行路』 のクライマックスは大山での神秘体験ですが、あれはちょっと異様です。気になる方は文庫本でちぇきらっ! (笑)。
ところでロンドンオリンピックが終わりましたね。なにか久しぶりにいい大会だったなぁという感じがしました。イギリス側の運営が上手だったせいか、資本主義の成熟を感じました。日本の選手も確実に成熟していると思いました。ただ努力するだけでなく、多くの選手が考え抜いて、自分と競技上のライバルと闘っているように感じました。
それにしても、オリンピックが開催される4年という期間は絶妙ですねぇ。4年経つといろいろなことが大きく変わり始めます。スポーツの世界だけでなく、実社会でも4年は一つの区切りだろうと思います。実は文学金魚も4年単位で運営方針を考えています。文学金魚を始めてから約半年ですから、後3年半が金魚屋の最初のステップ期間なのでありますぅ。
■『No.001 紡 vol.6 (2012年07月)』 URL■