水野翼さんの文芸誌時評 『No.003 S-Fマガジン 2012年08月号』 をアップしましたぁ。『日本作家特集』 を組んでおられますが、ちょっと意味深長な特集名かもしれませんねぇ。SF の世界では、海外 SF と国内 SF を区別して考える習慣があるようです。
前にも書きましたが、日本文学では時代小説があるから SF が今ひとつ盛んにならないのだという説があります。SF は未来の社会を描くのが一般的ですが、それはもちろん現代社会のパラレルワールドなわけです。現代的問題を、極限的にクローズアップできる空想世界を近未来に設定して、いつの時代もあまり変わらない人間の心理を描くのが SF だと言えます。
この SF の小説構造は基本的には時代小説と余り変わりません。しかしだからこそ、日本の作家が SF を書く意味が、欧米とは違うところで生じてくるように思います。金魚屋文芸誌時評執筆陣の中では、『SFマガジン』 や 『幽』、『怪』 といった雑誌の評価がとっても高いです。SF やホラーといった底の固い文学ジャンルは、現在のように先が見えない時代には、有望株なのかもしれません。『SFマガジン』 さん、期待してますですぅ。
■『No.003 S-Fマガジン 2012年08月号』 URL■