遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第35回)をアップしましたぁ。三四郎、美禰子ちゃんに見事にふられるの巻、完結篇でございます。悲恋なのですが、当時の結婚システムとしては仕方がない。
「でも美禰子は、『「お金は、あすこじゃいただけないのよ」』と、三四郎の告白の意味を『あら、そう。お金を返しに来たのね』という解釈にすり替えてしまう」
「この辺は、美禰子の巧みなところよね。わざと他の可能性を挙げて、それを三四郎につぶさせようとしているのよね。そうやって、三四郎の気持ちを確認してるわけよね。そして、『「お金は私もいりません。持っていらっしゃい」』っていう。これは、現実には結ばれない二人だけど、貸借関係っていうかたちを永続化することで、象徴的に関係性を維持しておきたいっていう気持ちの表現だったともとれる」
遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』
と遠藤さんが書いておられる通りです。美禰子ちゃんも三四郎も結局のところ、当時の結婚システムを受け入れたわけです。悲恋というものはなかなか甘酸っぱいもので、だから『三四郎』が意外と人気小説でもある理由になっています。しかし『虚構探偵』ではその背後で殺人事件が起こっております。大団円に近づいてまいりました。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第35回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第35回)横書版■
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