小原眞紀子さんの連載小説『幕間は波のごとく』第05回をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連載サスペンス小説です。中年に差しかかった女性の、しかも姉妹を主人公集団にしたサスペンス小説は少ないですね。これからの世の中に合ってるかも。
当たり前ですが創作はやろうと思わなければできない。で、小説に限ると、純文学、サスペンス、SFと的を絞らなければ小説は書けないわけです。書き始めたら純文学になった、サスペンス小説になったなんてことは、まあ絶対ないですね。
もちろん自分の書きたいテーマに合わせて小説ジャンルを選ぶわけです。が、これは小説に限りませんが、どんなジャンルでも技術がなければものになりません。つまり純文学、サスペンス、SF、ホラーといった小説ジャンルにはそれぞれ文法がある。それを踏まえた上でなければ前衛的小説とか意欲的小説とかは生まれません。
「小説は金と男と女を書くものだ」「サスペンス小説では冒頭10ページくらいで一回目の殺人を起こせ」と小説の世界のベテラン編集者は言ったりします。小説書き始めの人は「んなことないだろ」と反発することが多いでしょうね。でも大局ではその通りなのです。すんごく単純に言えば小説は俗なものであり、読者の興味を惹き付ける大衆系小説では厳然とした文法がある。それが腑に落ちなければプロのとば口に立てません。
小原さんの小説はキッチリサスペンス小説の文法を踏まえています。つまり文法を踏まえてそれ以上の何かを表現しようとしている。文学金魚が言う純文学は、文壇的な純文学と大衆文学の区分ではなく、それぞれの文法を超えて来る表現方法と内容を指します。
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第05回 縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第05回 横書版 ■
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