小原眞紀子さんの連載小説『No.027 本格的な女たち』をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの同窓会サスペンス小説です。今回は急展開の章です。この物語はこれからどうなってゆくんでせうか。
現代は既存の概念や常識が大きく揺らいでいる時代です。文学も例外ではなく、様々な試みが行われています。本が売れない時代ですから、プロパーの文学者以外に助けを求めるように、他ジャンルで有名な方の作品を積極的に文芸誌に掲載し、単行本化する試みも行われています。逆に言えば特に小説などではその書き方が常識化していて、誰でも真似られるようになっている。じゃあプロおよびその予備軍の作家はどう奮起しているのかというと、常識化した書き方を破ろうとして自爆しているようなところがある。要するにNEXTを見出せないんですね。これは詩の世界でも似たようなものです。
ただ小説の基本というか原理原則は物語です。物語がなければ始まらない。そして物語はわたしたちを意外な所にまで連れて行ってくれる。小原さんは『源氏物語』の読解者として碩学と言っていいですが、『源氏』は途中まで物語として面白い。いろんな事件が次々に起こる。ただ紫式部が最終的に意図した物語の着地点は必ずしも〝事件〟にはなかった。ただこの事件ではないという小説の着地点は物語がなければ絶対に明らかにならない。作家は小説の基本原則を突き詰めなければならないということです。それは小説では平安の昔からまったく変わっていないのです。
■ 小原眞紀子 連載小説『No.027 本格的な女たち』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『No.027 本格的な女たち』横書版 ■
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