遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第21回 (八) 象の前足(プロスペクター)』をアップしましたぁ。今回はバイオプロスペクター、いわゆる遺伝子ハンターが登場します。アメリカではムーア訴訟が有名で、遠藤先生もこの裁判をネタの一つにしておられます。視点の広い小説家さんなんですね。日本ではまだそれほどではありませんが、アメリカで遺伝子工学や遺伝子ハンターが比較的よく知られているのはお金になるから。それも莫大な利益を生みます。アメリカ刑事ドラマなどでは、遺伝子の窃盗などが定番事件ネタになっています。
ところで今月の6月29、30日に、遠藤先生の処女作単行本『姉飼』に基づく舞台『キューブ・ガールズ』が東京中野のPRiME THEATERで上演されます。是非足をお運びください。作家にとって過去作はくすぐったいような作品であり、遠藤さんのようにキャリアの長い作家にとっては「ん~昔の作品だなぁ、今現在書いている作品にしか興味ないよ」といふことになるかもしれません。でも単行本『姉飼』は傑作なんだなぁ。
表題作の『姉飼』は怖いんだけど、これをホラーと呼んでいいのかといふ議論を巻き起こした小説です。そこはかとなく存在する出版ルールに沿って、その後遠藤さんはホラー作家の道をお進みになったわけですが、『姉飼』い寄せられた「これはホラーなのか?」という問いか、じょじょに意外な方向に遠藤さんを進ませてゆくことになります。
遠藤さんという作家、どんなタイプの作品でも書けるんですね。純文学でも推理小説でもホラーでもラノベでも簡単に書いてします。そして底の方に、なんとも冷たい何かが流れている。それが処女作『姉飼』の、怖いんだけどホラー小説とカテゴライズしてしまうのをためらうという読後感の正体でした。優秀な作家さんなのであります。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第21回 (八) 象の前足(プロスペクター)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第21回 (八) 象の前足(プロスペクター)』横書版 ■
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