小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『姿』(第07回)をアップしましたぁ。
かすかな達成感と
無為に過ぎた時間の
混在が周囲の闇をつくると
ヒトは思うが
もとより闇から生まれた
闇そのものの存在だったと
思い出せないでいる
思い出せないでいるかぎり
達成はそのときかぎり
時は無為に過ぎる
(小原眞紀子『姿』)
どの時代にもトレンドがあるわけですが、詩の世界ではトレンドが見当たらないことがトレンドかな。詩人さんたちはてんでバラバラ。特定のメディアや同人誌に染まってそこでの動きが詩のすべてだと勘違いしたり、イベントを打ち、交互に出席して出演者と観客になっているのが詩の世界だと思ってしまっているやうな感じです(爆)。『達成はそのときかぎり/時は無為に過ぎる』のであります。
創作者が本当にエゴイストで、人のことなんてどうでもいい、自分さえ良ければいい、いい仕事ができて目立って評価されればそれでいい、と思うなら、孤独になることですな。自由詩の世界には短歌や俳句のような形式的縛りがありませんから、トレンドが無くなれば詩人たちが四散してしまうのは当たり前。結局は一抜けを狙っている信用できない友だちと、ささやかなディール(取引)で安全保障条約のような仲間内を作る方が偽善です。
小原さんは『闇を見よう/何も見えない/ことはない』と書いておられます。現実的処世術も含めて、底の底まで自己と他者=社会の本質を見つめなければ、なかなか一抜けできない時代になっております。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『姿』(第07回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『姿』(第07回)横書版 ■
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