ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.018『少女と銀狐』第26章をアップしました。『第26章 少女はきけんなめにあう』です。『少女と銀狐』は少年少女向けの物語ではあるのですが、残酷さが魅力ですね。めったに死が訪れることはないのですが、登場人物たちはそれぞれ苦しみます。このあたりに作家のドイナさんの思想が表現されているでしょうね。
金魚屋から刊行した『文学とセクシュアリティ』の中で、小原眞紀子さんが『物語の登場人物に人権はない』と書いておられます。それはまったくその通りで、登場人物が苦しんだり死んだりするのは作家の思想を読者にはっきり伝えるためです。そこに現実世界での人権やヒューマニティを持ち込むのは、プロ作家の場合、ないというよりあり得ません。
ドイナさんの『少女と銀狐』で登場人物たちが苦しむのは、最も単純に言って現世が苦に満ちているという作家思想の表れでしょうね。その認識は深いと思います。しかし一方で『少女と銀狐』の物語は森の中で起こるのです。この森は永遠循環的な世界ですね。その物語世界を覆う形で広がっている森の世界観が、ドイナさんの現世を超える上位思想かもしれません。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第26章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第26章 横書版 ■
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