岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『No.081 秦夕美「別の世を」連作(月刊俳句界 2017年06月号)』をアップしましたぁ。秦夕美さんが「別の世を」二十一句を取り上げておられます。一九三八年生まれで水原秋櫻子「馬酔木」、藤田湘子主宰「鷹」、赤尾兜子「渦」などにに参加され、現在「豈」同人で個人誌「GA」を刊行しておられるベテラン俳人です。
つひに会う冥王薔薇をむしりゐる
道草のはじめは黄泉の蓬餅
とある日の鮎のにごせる川面かな
どこやらに雨の香とどめ沙羅の花
きまづさや六文銭をなくす蛇
のいばらは遠つ世のいろ風あそぶ
はばかりに人の声する業平忌
(秦夕美「別の世を」連作より)
岡野さんは『言ってみれば俳壇のメインストリームから外れた作家である。ただそれはいっときのことであり、秦さんの作品は長い時間をかけて現在俳壇で名の知れた俳人たちよりも高い支持を集めてゆくだろう。俳人の評価は結局のところ作品の質が決める』と批評しておられます。
俳句は言ってみれば海のようなものであり、高い波頭を立てた俳人――つまりある種の新し味、前衛性を持った作家が各時代の代表的作家になります。ただそれだけでいいのかと言えばもちろんそうではなく、同時に俳句の原理――つまり海深くに潜ってその底流を捉えている必要があります。そこが俳句の難しいところであり、俳人の成熟に時間がかかる理由でもあります。秦夕美さんは前衛的で古典的作風です。つまりいい俳人であります。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.081 秦夕美「別の世を」連作(月刊俳句界 2017年06月号)』 ■
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