お待ちかね、小説ジャンル越境作家、仙田学さんの新連載小説『ツルツルちゃん 2』(第11回)をアップしましたぁ。『第四章 ジュニアとコラコラ問答(下)』篇です。イケチン君危機一髪の巻です。つーか羊歯ちゃん大活躍の回でもあります。
羊歯の頭は、なににも覆われていなかった。
なめらかな楕円体は日陰で育った植物のように青白く、埃ひとつ、指紋ひとつついていないゆで卵のように滑らかだ。
ひさびさに見た羊歯の頭は、全力でつるっつるだった。
鏡のように。
夕陽にほんのり紅く染まった頭の肌に、便所の風景が映っている。
並んだ便器に、個室の扉に、タイル張りの壁に、未来に、おれに、
池王子。
池王子の顔は、鏡のような、羊歯のつるっつるの頭皮のなかで、笑っていた。
田舎のおばあちゃんのような、ゼロ歳児のような、屈託のない笑顔だった。
池王子のこんな表情は見たことがない。
ってより、ここまで安心しきったひとの笑顔は見たことがない。
(仙田学『ツルツルちゃん 2』)
『ツルツルちゃん 2』では羊歯ちゃんがキーパーソンです。こりは面白い設定ですね。主人公の映一君は観察者として設定されていますが、物語全体を司るのは羊歯ちゃんです。『ツルツルちゃん 2』はぐるぐる小説で、主要登場人物の感情といふか恋心がすれ違いますが、羊歯はどーなんでせうね。続きが楽しみでありますぅ。
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第11回) pdf版 ■
■ 仙田学 連載小説 『ツルツルちゃん 2』(第11回) テキスト版 ■
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