小松剛生さんの第1回 辻原登奨励小説賞受賞作『切れ端に書く』(第03回)をアップしましたぁ。不肖・石川は編集者で、しかも今どきの基準では多分古いタイプの編集者だと思ひます(爆)。ま~感性が古びているかどーかは自分ではわかりませんが、作家の作品について僭越ですが多かれ少なかれ判断を下す時に、自分なりの絶対的自信を持っております。小松さんは石川の判断ではかなり優れた作家ですね。
文学金魚新人賞選考委員の辻原登先生からは、「新人作家をチヤホヤするな、勘違いさせるな、それだけは絶対やるな、ろくなことにならん。むしろ文学の世界、そんなに甘くないってことを思い知らせるよーに」といふ極秘指令(書いちゃったから極秘じゃござんせんけど)を受けていますけど、石川流に言いますと、伸びるも萎むも作家次第。編集者がしゃかりきになって指示を飛ばしても限界があります。小松さんが優れた作家だというのは、〝地金〟は文句なしといふことであります。
「知らないことばかり書いてるじゃないか」
僕はどきりとした。
また知らないこと、だ。
ぱたん。
「知らないことは書けない、そんなことも知らないのか」
ぱたん、ぱたん。
『切れ端に書く』は、ある意味では「ぱたん、ぱたん」の小説だと思います、ある回路が開き、閉じる。その往還の中で何事かが表現されてゆく。この作家、小説を書くことでしか考えることができないような気配がある。この資質は得難いものです。ただ戦いは始まったばかりです。一度開けて閉じてしまった扉は振り返らず、先へ先へと進むのが大事でありますぅ。
■ 小松剛生 連載小説『切れ端に書く』(第03回) pdf 版 ■
■ 小松剛生 連載小説『切れ端に書く』(第03回) テキスト版 ■