日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第52回)をアップしましたぁ。今回はパズルの名にふさわしい回です。最初のブロックは第10回に続き、次のブロックは第8回、7回に接続します。こふいふリゾーム的なエクリチュールが『偏態パズル』の魅力です。世界文学にはプルーストの『失われた時を求めて』や、ムージルの『特性のない男』など、読めども読めども終わりさうにないエクリチュール主体の長編小説がありますが、『偏態パズル』は本邦初のエクリチュール(リゾーム)小説かも。頭のいい批評家の皆様は、外国文学にばかりエクリチュールやリゾーム概念を読み解かずに、是非三浦センセの作品を批評してくださいませ(爆)。
んで今回の連載の3ブロック目は「僕」が主人公なのですが、僕は恋人のおろち行為を目撃して百年の恋が冷めるのです。『体目当ての通俗やり逃げ男と思われるくらいなら、覗き野郎をカミングアウトして説明に努めた方がましだったかな・彼女を傷つけずにすんだかな的僕。今にして思えば』とあります。なんといふおろち愛!(爆)。彼氏の趣味が覗きだとわかったら、ふつーの女子ならCOWCOWの『当たり前体操』の一万倍のリアクションで〝引くっ!〟でせうなぁ。しかし僕のおろち愛は、通常の恋愛感情なんぞを軽々と超えてゆくのであります。
あ、今思い出しましたが、ヘンリー・ダーガーという画家の『自伝』も一万ページを優に超える長篇だったやうな。病院の掃除夫として暮らし、死後、居室の中から膨大な挿絵付きの『非現実の王国』といふ物語本が発見された画家です。ヴィヴァン・ガールズが主人公なのですが、なぜか女の子たちの股間にはペニスが描かれております。ほんで『自伝』の出だしは、『わたしの人生には、とりたてて事件という事件がなかった』ぢゃなかったかなぁ。『自伝』の翻訳はまだ出ていないと思います。『非現実の王国』の方は、おろち界ではなく、けっこうなスプラッタでありますぅ。
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第52回) pdf版 ■
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第52回) テキスト版 ■