田山了一さんのTVドラマ批評 『 No.036 実験刑事トトリ 2 』 をアップしましたぁ。NHKさんの土曜ドラマで、三上博士さん、高橋光臣さんの刑事コンビが難事件を解決していく推理ドラマです。彼らの上司は笹野高史さんですが、やっぱうまいですねぇ。こういう上司って、いるなぁと思わせます。栗山千明さんと高橋愛さんも出演されています。
田山さんは 『推理ものというのは本歌取りの和歌の世界のようなところもあり、オリジナルであってオリジナルではないものなのだ』 と書いておられます。田山さんが想起されているのは刑事コロンボです。三上さん演じる主人公トトリは動物的な勘の持ち主で、タイトルに 〝実験刑事〟 とあるように、検証によって犯人を追いつめていきます。また一方で相棒の高橋さんは、終始トトリの推理を後追いしてそれを是認していく役割であるという意味で、ワトソン系のキャラ設定でしょうね。
こういったキャラの設定枠組みは、推理ドラマ・小説 (大衆小説といふことになるでしょうが) ではなかなか崩すことができないでしょうね。主人公は基本、ホームズ (コロンボ) 的な知性を持つ探偵ですが、彼を単独者として描くか、相棒にワトソン的人物を配置するのかといふのが基本的な選択肢だと思います。推理小説を書こうといふ作家さんは、キャラ設定に迷うでしょうね。単独者、コンビのどちらかを選択するのか、あるいは別の選択肢もあるのではないかとお考えになると思います。でもその前に、きちんと型を認識しておいた方がいいだらうと、不肖・石川は思います。
プロを目指す作家なら、漠然と小説を読んではダメです。主人公の設定だけでなく、作品が何枚で書かれているのか、殺人事件はその中で何回起こっているのか、いつ起こっているのかなどを、分析して把握した方が良い。型を壊したいのならその後です。やってみると意外に面白い結果が出ますよ。ご自分が書いた小説が売れるかどうかは別として、過去の売れ筋小説といふものが、基本的にどっしりとした型に沿って造られていることがわかるはずです。
■ 田山了 TVドラマ批評 『 No.036 実験刑事トトリ 2 』 ■