テレビ朝日
金曜 23時15分~
これも漫画が原作である。原作が漫画のドラマを演じる俳優さんたちには、いつも同情を禁じ得ない。すでに映像作品になっているものを重ねて映像作品に仕立てるのは、あるいは楽かもしれないが、俳優はやはり、キャラクターを演じさせられている感があると見えることが多い。小説のドラマ化が、しばしば俳優の力量をアピールする場となり得るのとは対照的だ。
もちろん原作漫画とは別の味を出して、ドラマ単独でも楽しめるものもある。それは、どちらかというと女性向けのコミックが多い気がする。『きみはペット』とか『花より団子』とか、ストーリーよりむしろ俳優が記憶に残ったものとしてある。
理由はたぶん、心理的な奥行の深さにあるのだろう。女性向けと言えば恋愛もの、恋愛と言えば感情の産物で、その表現に関して言えば、三次元の人間たちが二次元のキャラクターたちに負けるはずがない。
俳優はあまり記憶に残らないが、はなから奥行を無視しても楽しめるのは、いわゆる「情報番組」として見られるものだ。『ナニワ金融道』とか『美味しんぼ』とか。いずれも主人公を演じた中居正広や唐沢寿明の漫画キャラクターとのそっくりぶりは印象的だったが。
この「情報番組」として、というのはしかし、意外と侮れない要素だと思う。人の好奇心も向上心も、コンテンツのターゲットとすることは極めてまともでもある。
漫画の世界では、いろいろな職業の人がタイムスリップしているそうで、ひとつ当たるとその色違いを出してくるのが漫画なので不思議ではない。そして漫画に原作を頼っているテレビドラマの世界でも、そういうことになる。
時代ものとして最も人気のある信長と、情報として最も数字が取れる食べ物を結びつける発想はイージーと言えばイージーだが、漫画でもドラマでも目的がいっしょというところでは、わかりやすい。
実際、食べ物が数字が取れるのは、あの韓国ドラマ『チャングムの誓い』を見ても明らかだ。緊張感のある結構もさることながら、同じような韓国宮廷ドラマが多い中で突出していたのは、宮廷料理の驚嘆すべき奥深さを知るだけでも見ていいと思わせたからだろう。
『チャングムの誓い』ほどではないにせよ、『信長のシェフ』にも食べ物に関する、特に今昔の差異についての豆知識が盛り込まれている。目を見張るばかりの豪華さや、唸るような知識の数々でなくとも、そこは深夜枠だ。疲れてぼんやりした頭に心地よい程度の刺激となるものは、朝昼やゴールデンのものとはおのずと違ってくる。
深夜というのは皆、だらだらしたいものだ。でも翌朝は早いし、消そうと思えばすぐ消せると思いながら、何となくそのまま見ちゃう、ぐらいのものがいい。それがちょっとピリッとしたものだったり、豆知識があったりすれば、微かなお得感の中でぐっすり眠れる。
田山了一
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■