医療系YouTubeって、ちょっと身構える。めんどいから見ないで保存だけしたり(笑)。だって「これを知らないと危険です」みたいな煽りか、逆に白衣着た先生が淡々と教科書読み上げてるだけか。どっちにしても見終わったあとに「で、結局どうすればいいの」ってなりがち。
その点、ドクター赤松の動画は、そのどちらでもなくて「ちょっと詳しい(オタク?)友達に教えてもらってる」感覚。でも一方で、そうそう、大学病院とかにこういう若い先生いるよね、って感じも。
で、最初見たとき、あれ、この空気感、どっかで見たと思ったんですよ。そう、料理研究家のリュウジさんとすごく似てる。「難しいことはやらない」「でも要点だけは外さない」「上から教えない」。あと、なんというか小生意気なおぼっちゃま風(笑)のノリがあって、それが観やすさに直結してる。リュウジが「これ入れたらうまいに決まってるでしょ」と言うように、赤松先生も「低血糖を起こしにくいっていうのは、かなりでかいんですよね」みたいな感じで、親しみやすいテンションで核心を言ってくる。声の独特さも含めて、この人、絶対にYouTuberに向いてるな、と思わせる何かがある。あの声、ちょっとクセになる。
メトホルミン自体の話に入ると、まず「インスリンを無理やり出させる薬じゃない」という整理がされる。これ、地味に重要なポイントで、糖尿病の薬ってどれも同じようなことをしてると思いがちなんですが、全然違う。肝臓での余計な糖の産生を抑えて、筋肉での糖の利用効率を上げる、という仕組みを「体が無駄に糖を作らないようにする」という言葉で説明してくれるので、難しい話なのにイメージが湧いてくる。このあたりの噛み砕き方が上手い。
なぜ第一選択薬なのか、という話も、「効果・安全性・コスト」の三点で整理してくれる。ここはかなり腑に落ちた。劇的に血糖を下げるわけじゃないけど、低血糖を起こしにくくて、体重も増えにくくて、長期的な合併症リスクも下げる可能性があって、しかも安い。「派手さはないけど、地味にすごく優秀な薬」という言い方がされるんですが、この評価、好感が持てる。
ただ、薬って悩ましいもの。消化器症状の副作用は飲み始めに出やすいし、乳酸アシドーシスというリスクもある。腎機能の状態によっては使えないし、脱水や感染症のときも注意が必要。「じゃあ自分は飲んでいいの?」という問いに対して、「場合による」。この悩ましさをそのまま出しているところがいい。「大丈夫です、安全です」で丸めない。かといって不安を煽りもしない。「適切に使えば、非常にまれ」「こういうケースは慎重に」という現実的な着地点。怖い話を怖いまま見せながら、でも実際の頻度に戻してくれる。このバランスね。
そして本命のアンチエイジング領域への言及。ここだけ少しテンションが違って、なんか個人的に気になってますよね、という空気が出てくる。「研究段階の話もある」というトーンにとどめてるんだけど、過剰な期待を煽らない姿勢を保ちながら、でも「気になってる」は伝わる。個人的にはやっぱり、メトホルミンを飲んでない健常人よりも飲んでる糖尿病患者の方が長寿だった、というのは無視できない気がするし、あと5年後の調査結果を待つのもどうなんだろう。でも医師としては、どのみち健常人に勧めるのは難しいよね。そう、ちゃんとした先生なんだ。語り口は軽くともリスクとリワードをしっかり計算してる。
まあ、飲み方の話も実用的で良かった。少量から始めて徐々に増量する、食後に飲む、自己判断で中断しない。これで副作用の体験がかなり変わるよね。知識の解説で終わらせずに、実生活に直結させてくる。このあたりもリュウジさんと同じで、「作り方を教える」だけじゃなくて「作れるように設計する」という意識が感じられる。
結局、メトホルミンというのはそれぞれが状況を見ながら取り組むしかない薬で、この動画もその悩ましさを解消してくれるわけじゃない。でも、「何がどう悩ましいのか」を理解できるようにしてくれる。貴重。
石川良策
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