YouTubeの人気チャンネルが必ずしも自分に合うとは限らない。別に嫌いじゃないし、面白いとも思う。でも何本か続けて見ると疲れてしまう。テンションが高かったり、リアクションが大きかったり、なんというか若い。その点、びわ湖くんはなぜか見られる。気が付くと何本もハシゴしている。理由はよくわからないんだけど、たぶん不景気だからだ。成功しているはずなのに、やたら不景気なのである。高級店へ行っても成金趣味にならないし、何を食べてもまず値段を見る。たぶんYouTuberとしては珍しいタイプだ。その脱力した感じが、案外見ていて心地いい。
今回の動画は、一時期YouTuberたちがこぞって訪れていた「接客態度の悪い店」レイジーハウスに行くという企画。正直、最初は「まだあったんだ」という感想だった。びわ湖くん自身もそんな感じで、店の態度より先に値段を気にしている。予約料に文句を言い、カツサンド1200円に文句を言い、子供に行きたいと言われたらマクドナルドへ連れていくと言う。夢がない。でもちょっとわかる。というか、たぶん視聴者のかなりの部分が同じことを考えている。びわ湖くんの動画って、結局こういうところ。何を見てもまず生活者目線。
ところが見ているうちに、店の印象が少し変わってくる。この店、単に態度が悪いわけじゃない。もちろん罵倒はする。でも雑ではない。むしろ客をよく見ている。だから途中で出てくる「お前、びわ湖だろう」が妙に効く。あれはちょっと感心した。YouTuberというのは基本的に人を観察する仕事だと思うのだけれど、この回では立場が逆転する。びわ湖くんが店を見ているようで、実は店側もびわ湖くんを見ている。その感じが面白い。接客そのものが商品になっている店だからこそ、人を見る目も鍛えられているのかもしれない。

そして本当に印象に残ったのは最後だった。動画の終盤で紹介されるLINEである。妙に丁寧なのだ。あれが怖い。もちろん「罵倒は演出ですよ」という意味にも見える。しかし一方で、「次もよろしくな」という圧にも見える。いや、考えすぎなんだろうけど(笑)。でも、そのどちらにも読めるところがうまい。店のコンセプトを最後まで崩していないのである。要するにプロだ。その凄みがある。
で、びわ湖くんは0点を付ける。容赦がないのはお互い様。ただ、その0点はなんとなく悔しそうなのである。本当にどうでもいい店だったら、もっとあっさり終わるかも。少し意地になっている感じがある。一本取られたというか、思ったより店のペースに乗せられたというか。その辺が透けて見えるのがよい。結局この動画、接客態度の悪い店のレポートなんだけど、一番印象に残るのは店よりびわ湖くんだったりする。そういうところも含めて、なんだかんだで何本も見てしまう理由なのかもしれない。
石川良策
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