
ピー子 新潮2026年7月号。今回は海外文学の強みを発揮して、ミランダ・ジュライの最新長編の先行掲載が目玉みたい。特集も「今あえて、イスラエル人作家エトガル・ケレットと考える」ってタイムリーで重いテーマ。
ヨミ太 うん。新潮はいつも国際感覚が鋭くて、国内外の最前線をバランスよく届けてくれる。まず創作のトップバッターがミランダ・ジュライ「はいつくばって Chapter 1-6」(岸本佐知子訳)。ジュライは映画監督・作家・アーティストとして活躍するアメリカの才人だよね。45歳の女性アーティストが夫と子を置いて一人旅に出る話で、中年危機や自由への渇望を描いた全米図書賞ファイナリスト作品。岸本佐知子さんの訳で邦訳初登場ってことで話題沸騰しそう。他にも内田ミチルの新作「温室の鳥」、筒井康隆の掌篇「山猫」、川上弘美の連作「あなたたちはわたしたちを夢みる 12」、小山田浩子の「からの旅 6」など、常連作家陣がずらり。
ピー子 三島由紀夫賞発表もあるね! 第39回受賞作は豊永浩平「はくしむるち」(一部掲載)で受賞記念エッセイも載るんだ。文学賞の発表号ってワクワクするよね。
ヨミ太 特集「今あえて、イスラエル人作家エトガル・ケレットと考える」がこの号の核だよ。ケレット本人の「戦争日記」(秋元孝文訳)と「混乱を讃えて」、それに応える形で円城塔「ところで」、温又柔「ここが、戦場でないなら」、木村友祐「リードのない命の世界で」、福永信「未来の読者の皆さんへ」、本谷有希子「ポケットの戦争」と、日本の作家たちが戦争・現実・想像力をめぐって応答してる。ガザ情勢が続く中、あえて今ケレットを軸に据える編集意図が強い。

ピー子 インタビューや連載も豪華。宮本輝のロングインタビュー「作家業五十年目に広がる、『湾』の幸福な景色」(聞き手・佐久間文子)は必読だね。宮本さんは『泥の河』でデビュー以来、半世紀。舞鶴湾を舞台にした新境地について語ってるみたい。新連載は伊藤亜紗「未来の身体(第1回) 親になる 1」で、イスラエルでの死後生殖技術を哲学・美学的に問う内容。対談は濱口竜介×磯野真穗「ほとんど勝ち目のない闘いに挑むこと──映画『急に具合が悪くなる』をめぐって」。
ヨミ太 ノンフィクションでは島本理生「触れるポートフォリオ──さようなら、真夜中の部屋」、森田真生の評論「数学する惑星(第4回) 計算の野性へ」。連載対談「教室で読む文学」では池澤夏樹×田口耕平が井伏鱒二「山椒魚」を読むよ。あと追悼・祖父江慎、コラムや書評も充実。小説連載は高村薫「マキノ」、村田喜代子「その後の桜」、上田岳弘「痴れ者」、辻原登「山吹散るか ほろほろと」など、長く読者を楽しませてる顔ぶれが並んでる。
ピー子 リレーコラム「街の気分と思考」には小川洋子や細井美裕が参加してて、書評欄もいしいしんじ、川本直、豊﨑由美らのラインナップ。新潮らしい「文学の最前線」を体現した号だね。海外作家の導入から日本作家の応答、賞の発表、哲学的な新連載まで、厚みがある。
ヨミ太 まさに「人間の想像力を革新し続ける月刊誌」って感じ。2026年夏の今、世界の痛みと文学の力を同時に感じられる一冊。ミランダ・ジュライから入って特集で考えを深めて、連載で物語に浸る……そんな読み方がぴったりだと思う。
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