きみはペット

フジテレビ

月曜 26:35~(放送終了)

 

 

 ハードルの高いことをまた、と瞬間的には思った。14年前の人気ドラマ『きみはペット』をリメイクするとな。しかし、あれ以上のハマリ役をどうやって見つけようというのだろう。もちろん、過去コンテンツのリメイクというのはむしろ、ハードルを下げるために試みられるものだが。

 

 人気漫画が原作であって、そういうときの常として漫画の読者はやっぱり、当時のドラマ化にしてもイメージを壊されたという不満があったようだ。が、最初にドラマの方を見たクチには小雪と松潤以外にあり得ない、と思う。そのくらいのハマリ役だった。頭脳明晰で美貌、気が強くて、けれども恋愛には不器用という女主人公は、少し大柄でなくてはならない。ペットとなる美青年との対比のためだ。

 

 モモと呼ばれる美青年はダンボール箱に捨てられているのを発見されるのだから、小柄な美少年ふうでなくてはならない。こうなるとジャニーズの出番である。ジャニーズであることがすなわち役作りに直結する、という例など他に見たことがない。いや『池袋ウエストゲートパーク』でロッカーから倒れ落ちてくる死体、14歳の山ピーもよかったな。そうか、ジャニーズのハマリ役は箱入り息子なのか。

 

 それでも数いるジャニっ子の中で、松潤にしたのは見識だった。小雪と松潤の華のある同士のがっぷりで、しかしどちらも初主演だったというが。松潤というのは決して芝居が上手いわけではない。けれどたとえば岡田准一なんかと組ませると、完全に食ってしまうことがある。

 

 岡田准一の演技力は大変なものだけれど、すなわち芸が細かい、繊細なので、よく見てないとわからない。それを松潤が食うときは一瞬だ。CMなんかでは顕著になる。その華のありようは、たとえば子供とか犬とかの人目の惹きかたと似ている。その意味で、ペット役というのは素晴らしかった。

 

 どんな場合もそうだと思うが、魅力というのはすなわち何かからのハミ出しである。そのハミ出しが人目を惹き、一種の危機感を煽り、ときに不安や反感を与えながら気がつくと魅了している。『きみはペット』という作品の人気もまた、固着した関係性からの逸脱だったろう。すべてにおいて完璧な女主人公は、非の打ちどころのない憧れの先輩との恋を成就しかけるが、それがある価値観の〝型〟にすぎないことに気づく。

 

 だからそれに気づかせるペットの美少年は、可愛いだけじゃダメなのである。犬といってもいろいろあるが、ちょっと凶暴なペキニーズめいた顔つきの松潤は説得力がある。いつも松潤は演技力でなく、その存在で説得する。芝居なんかさせたってしょうがない、と思わせるところが実は独特の演技力かもしれないが。

 

 それで今回のリメイクだが、考えてみれば深夜枠である。それはそうだな、と納得するものがあって、主人公はどちらも言われてみれば深夜ノリだ。深夜ノリとは、あらゆる意味でボリュームダウンしている、ということだ。ゴールデンと同じでは胃もたれしたり、太ったりしてしまうからだ。そしてこちらを楽しみに観たかもしれない、ごく若い視聴者にはかつての『きみはペット』の存在を知らしめるという啓蒙的役割もある。

山際恭子

 

 

 

 

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